2021年3月28日日曜日

Netflixインディアン・マッチメイキング(Indian Matchmaking) の感想

 最近は会う人会う人に『Netflixのインディアン・マッチメイキング観た?』と聞いているのだけど、誰からも『観たよ!』という返事をもらえず、悲しみに暮れ、ようやく重い腰をあげブログに思いをぶつけようと思った。





『インディアン・マッチメイキング(Indian Matchmaking) 』は、2020年のNetflixのオリジナルシリーズのリアリティショーで、邦題をググると『今ドキ! インド婚活事情』という、口にするのも憚られる恥ずかしいタイトルが出てくるので、この記事内では『インディアン・マッチメイキング』と呼ばせていただく。


この作品がNetflixにリリースされてまもなく私のNetflixのトップ画面に上がってきたので、皆にとって話題のシリーズだと思い込んでいたが、友人に言わせると、『アルゴリズムであんた好みの作品だから上位に表示されただけ。』と言うことで、日本でNetflixのトップ画面にこの作品が表示された人とぜひ友達になりたいと思っている。


話の内容は、タイトルからお察しの通り、インド人が主人公の恋愛リアリティー番組で、インドのお見合い結婚専門の斡旋業者、通称マッチメーカーを通して、インド人男女が人生のパートナーを見つけるリアリティーショーだ。


実際、1話目を見るまで、「インドの」恋愛リアリティショーだと完全に思い込んでいたが、実際は、登場人物のほとんどが「インド系アメリカ人」という、どちらかというとアメリカのリアリティーショーである。


1話ごとに、約3組の男女各々のストーリーと性格、相手探しの条件とバックグラウンドが語られ、『テラスハウス』のような登場人物全員が一気に参加する形ではなく、男女1組ずつ、別々のストーリーと場所(都市)でマッチメイキングが進んでいく。


皆が一応結婚を視野に入れた相手探しで、インド人の結婚事情上、相手に求める条件は恐ろしいほど、高い。


登場人物はインド系アメリカ人が多いとお伝えしたが、アメリカ生まれで性格的にも自分自身をアメリカ人として認識している彼らも、結婚といえば、「インド人、高学歴、職業も医者や弁護士など自身のキャリアと同等以上の人、もちろん同じ宗教」という、典型的なインド人の結婚の価値観が噴出する。


弁護士をしている34歳テキサス育ちのアパルナ。ニュージャージーでイベントプランナーをしている33歳のナディア。ムンバイでジュエリーデザイナーをしている30歳のプラージュマン。


インドにおけるインド人の初婚平均年齢は22.3歳(2018年のデータ)といわれる中、30代でインド人の結婚相手探しをするのは相当なハンデがある。

その上キャストたちは、インドではアッパーミドルクラス以上の比較的裕福な家庭の出身にあたるという背景もあり、かなり限られた母数の中から探さないといけなくなることはわかりきっているはずだが、彼らインディアン・マッチメイキングのキャストたちは、相手探しに一切の妥協がない。

むしろ、上に挙げた典型的な条件に加えて、性格においても、見た目においても自分の強い好みを突きつけてくる。


ちょっとは妥協しろよ!


そんな無理難題に挑むのは、ムンバイのベテランマッチメーカーをしているシーマ。このムンバイの頼れるおかっさん、百戦錬磨の結婚コンサルタントが、毎度頭を悩ませながら依頼人の好みに合う相手を何人か見つけ、提案する。それなのに、中には提案した全員とのデートすら断るキャストもいる。


ストーリーごとにシーマがカメラの前で「条件が厳しすぎる」、「彼女は妥協を覚えないといけない」と近所のおばちゃんが井戸端会議で喋ってるような愚痴を垂れるのもこの番組のお決まり行事になっている。


私は、基本リアリティショーはフィクションとして観るようにしており、大体いつも途中で筋書きが読めたり、過剰な演出が嘘くさく感じて見なくなることが多いのだが、『インディアン・マッチメイキング』は、インドという特異なカルチャーと今まだ残る伝統的なお見合い結婚文化がミックスされ、「次は何が一体出てくるんだ?」といい意味で期待を裏切られ、一気に最後まで観てしまった。


キャスト一人ひとりのストーリーとバックグラウンドに個性があり、自分が知らないアメリカにおけるインド人の恋愛事情を知ることもできたし、文化や国籍の違いを超えて、私と同じ30代の相手探しや人生の悩みにも共感を覚えた。

恋愛の悩みは、ほんと万国共通。


インド好きにはマストウォッチなリアリティーショー『インディアン・マッチメイキング』。まだシリーズ1のみの全8エピソードなので、今のうちに一気みしておくことをおすすめします。