インド一人旅再び
人生二度目となるインド一人旅は、再びムンバイから始まった。
インド最大の商業都市であり、金融と映画産業の中心地でもある。
映画『スラムドッグ・ミリオネア』で舞台となったこの大都市は、富と貧困、新と旧、西洋と伝統、あらゆる多様性が共存するカオスな都会で、インド好きの私にとっても個人的に思い入れの強い場所である。
ムンバイのチャトラパティ・シヴァージー国際空港
5年半ぶりとなるインド旅の主な目的は、北西インドのラジャスターン州の古都、ジャイプールを訪れることだった。
ウェス・アンダーソン監督のインド舞台の映画『ダージリン急行』でも注目を浴びたジャイプールは、ピンク色やパステルカラーのフォトジェニックな城壁や家々が立ち並び、「ピンクシティ」とも呼ばれる。そこにどうしても行きたくてたまらなくなったのが2023年の4月。
北インドのラジャスターン州は、3〜5月の気温は40度超すのが日常なため、街歩きが困難な暑すぎるこの時期を避け、気温が10〜20度の過ごしやすい11〜12月の乾季になるのを待ち侘びていた。
そして、12月中旬。成田空港からムンバイへと旅立った。
ANAでムンバイへ
航空券はマイルで購入し、ANAを利用。
行きの乗客は、ほとんどがインド人。
インド人はベジタリアンが多いため、CAがベジタリアン用の機内食をオーダーした人に対して、一人ひとりに口頭でチェックした上で、配布が始まる。
順番が決まっているのかどうか不明だが、私が食べるようなノンベジタリアン用を全て配布した上で、ベジタリアン用が配布されたため、非常に時間がかかっていた。
ベジタリアン食が配布される頃には、ノンベジの人はほぼ食べ終わっているような時間帯で、ベジタリアンの人に少し気の毒に感じた。
そんなこんな言いながら、約11時間でムンバイに到着。
どこらかしこにもいるインド土着の犬たちがお出迎え。
SIMカードが買えない
私は海外旅行では、基本的に事前にSIMカードを買っておく派なのだが、今回は、私のインドでの滞在期間と欲しいデータ容量に合うSIMカードが見つからなかったため、現地空港で買うことにしていた。
事前に入念にネットやRedditの情報で、ムンバイの空港にSIMを売るAirtel(インドの大手携帯キャリア)があることは確かめていたのと、前回のインド旅行でも空港でSIMを購入したため、今回も自信満々で夕方空港に到着。
入国審査を経て、出口を出てまっすぐ行った際にAirtel発見。
手書きの貼り紙に、"Indian nationals only" (インド人専用)とあったので「まさか」と思ったが、一応店員に尋ねてみる。
するとやはり、SIM購入にはインドの電話番号が必要、とのこと。
"City, city!"(街で買って!)
と追い払われた。
(いやいや、国際空港でSIMカードを必要とする人間は基本的に外国人だろうよ...)と心の中で悪態をついたが、気を取り直して、とりあえずホテルまで行くことにする。
高いタクシー代
前回のインド旅では主にUberかOla(インドの配車サービス)を使って移動していたため、今回もそれに頼るつもりでいた。
ただ、今回SIMがなくインターネットに全く繋がらなかったため断念し、空港にあるタクシーの配車サービスを使うことに。
空港で依頼するタクシーが、流しのタクシーよりさらに高いのは予想していたが、値段を尋ねるとなんと40分の距離で1,200ルピー(約2,043円。2024年1月現在)。
Uberだと、高くても200-300ルピーの相場のため、通常料金より相当ふっかけられているのがわかった。
ちょっと安くならないかと言ってみたが「混んでいる時間帯だから」と言い切る。
とりあえずSIMがない不安と一刻も早くホテルに着きたい欲で、タクシーを呼んでもらうことに。
金額と行き先が書かれたピンク色の紙を持って、地下のタクシーエリアへ。
インドでは、タクシーやオートリキシャーの運転手は英語を話さない人が多いため、英語の話せる受付係の人に、こうやって行き先などを、手書きや現地の言葉で事前に伝えてもらえるととても助かる。
冷房の効いた空港内から外のタクシーエリアに出ると、むっとした湿度と気温が押し寄せてきた。
ああ、インドに来たなあという感じ。
「ここで待て」という場所で待つこと30分。タクシーが来ない。
タクシー運転手らしき男たちはわらわらとそこら辺で雑談しているが、私用の車を出してくれる気配はない。
声をかけてみるが ”10 minutes”(あと10分)と言われるだけ。
しまいには、私より後に来たように見える白人の中年男性を、先に車に乗せ出した。
そこで、堪忍袋の尾が切れた私は、運転手らしき男たちにずんずん向かって、文句を言う。
彼らは英語をそこまで話さないので、何か彼らの言葉で反論してくるのはわかるが内容が理解できない。
あまりに私が不服そうな態度を出していたのを察してか、一人が椅子を持ってきて、ここに座って待てと合図した。
そうしてしばらくすると、やっと私のタクシーが来た。
冷静になって考えみると、私にあてがわれた車は事前に決まっていて、その車が空港への道の渋滞にはまって到着が遅れたのだろうと思った。
夜のチャトラパティ・シヴァージー国際空港
ムンバイの陽気なドライバー
乗った車のドライバーは、英語を話すフレンドリーな中年男性だった。
「日本はテクノロジーが発達した国だ」と、自分の車がSUZUKIであることを私に知らせてくれた。
私はタクシードライバーと雑談をするのが好きな方で、今回のドライバーのように、人と話すのが好きで、さらに他国の文化にも興味を持っている人に当たると嬉しい。
ムンバイはいつ何時でも渋滞している
大学出の知識階級ではなく、その道何十年のドライバーから聞く話はリアリティに溢れ、本音以外の恐らくだいぶ盛った話も混在しているだろうが、井戸端会議を耳にしている気分になる。
ドライバーは「日本は良い国だ。インドはダメだ」と笑いながら話した。
私が、「ムンバイにももうすぐ新幹線が通りますね」と言うと、嬉しそうに建設の進捗について語ってくれた。
私がSIMカードを買えなかった話をすると、空港周辺のマーケット(露店)を指差しながら「こういうところなら電場番号なしでも買えるよ。買ってこようか?」と提案してくれた。
ただ、初日からややこしい交渉ごとに巻き込まれるのも厄介だったので、やんわりと断り、そんなこんなでホテルに到着した。
充電器がない
ホテルはアラビア海に面したムンバイの高級住宅地の一つであるJuhu(ジュフ)にした。
次の日の午後には、また空港に戻ってジャイプールに移動するため、空港に近いところが便利だと思ったからだ。
そこで、iPhoneの充電器を自宅に置いてきたことに気づく。
日本からインドのプラグの変圧器兼アダプターはしっかりと持参してきたのに、充電器を忘れるとはあまりにもうっかりしていた。
ホテルの受付でもiPhone充電器は貸し出していないと言われたので、アメリカにいるインド人の友達に相談し、マーケットいわゆる露店で入手することに。
次の日は日曜のため店が空いていない可能性もあると心配されたが、なんとか充電器とあわよくばSIMカードが手に入ることを祈りながら就寝。
2日間は、ムンバイからジャイプールへ移動する。
Juhuのホテルから見たビーチ
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