2018年11月12日月曜日

アフリカのよさこい/Gobisiqolo

地元高知の祭りがアフリカで独自に進化してしまった例。


これ高知出身の漫画家、西原理恵子さんが リツイートしてるくらいバズっているので、このガーナの女の子たち宛に、ノリのいい高知県の偉い人たちから今にも来年のよさこい出場のオファーが飛んで来るに違いない。

高知の祭りの良さは、同じ四国の徳島の阿波踊りみたいに伝統的な型がほとんどなくて、ノリの良さとオリジナリティと酒と音楽で楽しむという自由なところである。個性を出した者勝ちというか。

それでいうと、ガーナの彼女たちのよさこいは優勝とってもおかしくないわ。
この独特のリズムセンス、真似できない。いいね。

このよさこいの動画見て、少し前に流行ったこの曲を思い出した。

Gobisiqolo - Bhizer ft Busiswa, SC Gorna, Bhepepe

これ聴いて、身体動かない人いないでしょ。

こんな曲でフリーダンスできるアフリカの人がほんと羨ましい。

2018年11月11日日曜日

探偵はL.A.の黒人青年、ヒップホップxミステリ小説『IQ』

L.A.を含むカリフォルニアの複数の場所で大規模な山火事が発生している今週末。

つい先日、L.A.近郊のミュージックバーで銃乱射事件があったと思ったらこの惨事で、もうひどいとしか言いようがない。

そんな遠くの国の人々の嘆きに思いをはせている中、めちゃくちゃ面白い小説に出会った。



IQ/ジョー・イデ

日系アメリカ人のジョー・イデによる、L.A.が舞台のミステリ小説「IQ』。

探偵は、L.A.の黒人コミュニティに住む青年で、感情に左右されずどんな時もクールで抜群に切れる頭脳と鋭い嗅覚で事件を解決していく。

そんな探偵の相棒もとい同居人は、ドラッグの販売で暮らすギャング。

スターを夢見る自己顕示欲の強い女の子や、ラッパー同士のビーフ、ギャングの抗争にコミュニティの貧困など、L.A.のローカルやセレブリティの世界観も盛り込まれていて、エンターテイメント性の高さは中毒者続出レベル。

しかもこれを書いたのが、ジョー・イデが50代後半の時と言うから驚き。

ジョー・イデは、日系人だがL.A.の治安の悪いサウスセントラルで育ち、幼少期は黒人たちのクールな話し方や振る舞い方に憧れて彼らのコミュニティに入り浸ったという。

そのおかげで、この小説の中でもローカルしか知らないL.A.黒人コミュニティ内の些細なディテールが緻密に描かれている。

まるで映画でも観ているかのようなスピードと文字から起き上がるビジュアルが鮮明で、久しぶりに1ページ1ページを読み進めるのがもったいないと思える小説である。

アメリカでは続編と3作目も出版されているようで、まだまだこのIQに出会える機会があると思うと嬉しくてしょうがない。

日本のヒップホップ界隈で話題になりすぎる前に、先に読んでおくことをおすすめします。




2018年11月6日火曜日

今だから90年代のウィノナ・ライダーを語っておきたい

ウィノナ・ライダーこそが90年代のヒップスター中の最強女子だったわけを、今一度写真で振り返りたい。





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ウィノナ・ライダーは1971年生まれの47歳。

30代で鬱と不安に悩まされ、2001年にショッピングセンターの万引きで捕まって以来、”行動がおかしなおばさん”としてのイメージがついてしまっていたが、2012年にNetflixの”Stranger Things"の人気で返り咲き、ゴールデングローブにもノミネートされた。

そんな47歳のウィノナだが、20代の頃は、今でいうヒップスター中のヒップスター。サブカル女子誰もが憧れる最強のモテ女子であったのだ。





ウィノナは、10代でいくつかのインディペンデント映画やカルト映画に出演後、1990年にティム・バートン監督『シザー・ハンズ』でジョニー・デップと共演。それがきっかけで私生活でもカップルとなる。1993年まで付き合い婚約までしていたが、破局している。

二人が付き合っていた当時、ジョニー・デップは腕に「ウィノナ、フォーエバー」のタトゥーを入れたというのは有名な話。






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ウィノナ・ライダーが、現在においてもヒップスター/サブカル界の最強女子である理由は、まず生い立ちにある。

アメリカ・ミネソタ州、ウィノナに生まれた彼女のゴッドファーザー(名付け親)は、心理学者でLSDの研究者でもあるティモシー・リアリー。70年代のヒッピー界隈では、サイケデリックの伝道師としてドラッグカルチャーを率いた男である。

ウィノナの両親は生粋のヒッピーだったようで、彼女が7歳の時にカリフォルニアのヒッピーのコミューンに家族で移住。

そこで他の7世帯と同居し、テレビも電気もない環境で育つうち、読書や演技の世界に没頭していったとのこと。

これほどゴリゴリの70年代ヒッピーの血が流れる現役女優は、今やそんなに多くない。





そんな異色の育ち方をしたせいで、コミューンを離れ、通常の学校へ通うようになった10代はクラスメイトから卑劣なイジメを受ける。

イジメの理由は、その頃すでに演技の仕事をしていて目立っていたことと、ボーイッシュなルックスが原因だった。確かに彼女みたいに際立った才能と個性のある美形の少女は、普通のティーネイジャーのいる学校では目立ちすぎる…。





そんな過酷な10代を終え、20代で映画スターとして確固とした評価を受けたウィノナは、28歳の時、自身が主演・プロデュースした映画『17歳のカルテ(原題: Girl, Interrupted ) で、助演のアンジェリーナ・ジョリーがアカデミー賞助演女優賞を獲得するなど、プロデュースの力も発揮する。


この時ウィノナは20代後半で18歳の境界性パーソナリティ障害の少女スザンナを演じ、そのボーイッシュで透明感のある雰囲気からは想像できない、少女と大人の間にある色気…を存分に発揮するという好演を見せた。

私は10代の時この映画をみて、ウィノナのもともと持ってるグラマラスな身体と精神的な色気に圧倒された…。ショートカットでボーダー着て、あのシーンは反則である。






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アートの才能がある少し病んでる美少女は、いつの時代も芸術の世界で大モテするが、ウィノナ・ライダーは、47歳になった今も現役である。

現役でその頃と変わらない危なげなアウトサイダーの魅力を保った、感受性豊かな少女のような47歳なのである。

だから応援したくなる、ちょっとハラハラしながらまだ見ていたくなる。




同じ90年代を一世風靡した俳優仲間であり元恋人のキアヌ・リーブスとのツーショット。

きらびやかなハリウッドの世界とは無縁の、生粋のアーティスト気質な2人。お似合いだ。

トム・ウェイツのTシャツ着た47歳ハリウッド女優を誰が嫌いになれる?




2018年11月5日月曜日

最近の気分、Princess Nokia(プリンセス・ノキア)

この映像に映る全てのものが好きである。

多様性なんてありふれた言葉で片付けたくない、チーム・アウトサイダーズ。
私にとっては、ワンピースの仲間なんかよりずっと頼りになる感じ。




MORPHINE - PRINCESS NOKIA


ところで、Princess Nokiaのファッションセンスが最高ということに気づいたのが最近で、とても悔しい。




色の組み合わせ、好きすぎる。




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ザ・ライフ…!!


シャツなし男の姿を楽しめる曲(Shirtless Songs) - Redbone / Wake Up in The Sky / Water me

上半身裸を最初にファッションにしたのはプリンスだろうが、最近の急なトレンドはChildish Gambinoの仕業なのだろうか。

70年代のシャツなし(Shirtless)  に、レトロなスラックスというファッションが、歌う時の一スタイルとして確立されてきた感がある。

そんなシャツなし男たちの姿を楽しめる3曲をピックアップしてみた。



Childish Gambino - Redbone (Live From The Tonight Show Starring Jimmy Fallon)


2016年終わりから今年にかけて、私がいまだに最も聴いている曲。
50回聴いても、最初に聴いた時と同じ感想を持ってしまう曲は珍しい。
この曲のよさを、誰かちゃんと音楽のわかる人に説明してほしいと思う。

そしてこの時のチャイルディッシュ・ガンビーノはシャツなしに加え、靴なし。



Gucci Mane, Bruno Mars, Kodak Black - Wake Up in The Sky

この曲は、今年最後のビッグヒットチューンでしょう。

70'sのキラキラ感に乗ったブルーノ・マーズのスムースな歌声は、何度聴いても消化に優しい。癖になるメロディ。

男女がキラキラの摩天楼を横目にドライブするのにベストマッチな曲だ。(何かを思い出したようだ)

個人的に、ブルーノとコダック・ブラックが後ろで踊るところがツボで、この踊りも年末にかけてアメリカで流行りそうだ。

そして、ここでシャツなしを見せたのは、ぷよぷよのお腹を晒した勇気あるコダックだった。




Lizzo - Water Me

 歌い手がシャツなしではないけど、この曲も入れさせてもらいたい。
シャツ男のお兄さんがイケメンだから。

この曲は、何よりCDアルバムのビジュアルが最高。
ショッキングなほどかっこいい。考えた人天才。




2018年11月3日土曜日

ウィンターソングの女王アリシア・キーズ

昨日ニューヨークの冬のことを書いたあと、私のニューヨークの冬のイメージは、全てアリシア・キーズのPVが原点だと確信した。



Alicia Keys - If I Ain't Got You


最初のピアノを数節聞いたら、もう冬でしょ。

この曲が収められている2枚目のアルバム”The Diary of Alicia Keys"は、2003年にリリースされたが、高校生の時、発売日に即買いしたのを思い出した。

Some people want diamond rings
Some just want everything
But everything means nothing
If I ain't got you, yeah

(ダイアモンドの指輪を欲しがる人もいる。ただ全てを欲しがる人もいる。でもそんなの全部意味がない。あなたの事を手に入れられないなら)

 このサビと歌詞は永遠だな。
アリシア・キーズはこの当時まだ10代。天才としかいいようがない。



Alicia Keys - Fallin'


初めて、この曲の最初の出だしの”I keep on fallin'..."を聞いた瞬間、私は鳥肌が立った。

確かラジオで流れてきて聞いたのだと記憶しているけど、すぐにCD屋に駆け込んだのを覚えている。

その当時、どこかの雑誌で「アリシア・キーズレベル以上に歌が歌える人は、ニューヨークにはゴロゴロいるが....」と書いていたのを今でも覚えているけど、こんな渋い曲が書ける15歳はアリシア・キーズしかいないのだ。

私の永遠のアイドル。永遠のニューヨーカー。
ずっと好き。


2018年11月2日金曜日

ニューヨークの冬とプリンセス・ノキア

11月なのに東京にはまだ全然冬が来なくて、気温が甘っちょろい。



BART SIMPSON & GREEN LINE - PRINCESS NOKIA


日中も常に−5度以下の本当の”冬”をニューヨーク以外で体験したことがなかったから、私の中での”冬”のイメージは全てニューヨークに直結する。

実際、今年の東京の耐え難い、長い夏の間中は、ずっと冬が恋しかった。

PRINCESS NOKIA(プリンセス・ノキア)はニューヨーク出身のプエルトリコ系アメリカ人で、アンダーグラウンドのクィアなラッパーとして抜群の人気を誇る。

このPVに入っている2曲”BART SIMPSON"も”GREEN LINE"も、全ニューヨークロケで、教室の外から見えるのがブラウンストーンの高層ビルというのが、一発でニューヨークと分かる理由。

”GREEN LINE"というのは、マンハッタン東を北から南へ走る地下鉄の6番線のことである。

For $2.50 I could go anywhere I want
Even if they check my bags
I'm hiding weed from the cops
I was on the 6, green line chick
I was on the 6

(2.5 ドルで私の行きたいところはどこでも行ける。警察の奴らが私のバッグをチェックしても、私はマリファナを隠すんだ。私は6番線に乗ってた。6番線の可愛い子。私は6番線に乗ってた)


$2.50はニューヨーク地下鉄の一回の料金のことだが、残念ながら現在は$2.75に値上げしている。悪名高いニューヨークサブウェイ(通称MTA)は容赦なくこそこそ値上げする。


実際ニューヨークの冬は、長くて信じられないくらい寒い。

でも、建物の中はセントラルヒーティングがきいているせいで、ほかほか暖かいし、たまにボイラーが暑すぎて、室内でタンクトップにならざるをえない時が何度かあった。


でも、まあ1年の半分は寒いことに変わりはない。

寒いことを恋しく思うことは今までの人生でなかったけれど、全然寒くならない東京を毎日大した感情もなく過ごしていると、ニューヨークの冬の一つ一つのディテールを細かく思い出している自分に気づく。

細胞の一つ一つが感情を取り戻すような冬をもう一度過ごしたい。


2018年11月1日木曜日

Trevor Noah(トレヴァー・ノア)はコメディ界のオバマ

トレヴァー・ノアは、コメディ界のバラク・オバマと言っていい。



1983年の南アフリカ生まれで、今アメリカで最も人気のあるコメディアンの一人であるトレヴァーは、南アフリカのアパルトヘイト時代、その頃は犯罪とされた、黒人女性と白人男性の間に生まれたミックス。

「生まれてはいけない者」として生まれた幼少期は、黒人家庭の貧困地域で育ち、その後18歳でスタンダップコメディを初め、たった1〜2年で人気を獲得し、今やアメリカで看板番組を持つほど大出世した。

彼の生い立ちや南アフリカでの刺激的すぎる体験だらけの子ども時代は、彼の自伝でも読める。この自伝、本気で面白い。中高生の世界史なんかの授業で取り上げるべき。



Netflixでも彼のコメディとドキュメンタリーが収録されている番組が2本ほどあって、その一つが上に挙げた”Afraid of the Dark".

2017年のニューヨーク公演を収録したものなので、アメリカで長年磨き上げられたスキルと芸が最高潮に達しているおすすめ作。

彼が現在最高のコメディアンの一人である理由は、まず圧倒的な知識と知性である。

世界の政治や歴史、人種差別に関するジョークをやるコメディアンはたくさんいるけど、彼の看板番組”Daily Show"で、どんな分野の専門家と1対1のトークをしても、互角に討論できる自頭のよさや鋭い物の見方を持った人は多くない。

ほんと、日本のバラエティ報道番組に出ている司会やコメンテーターの人は、トレヴァー・ノアを見て、全員勉強した方がいい。

これくらいの知識量を頭に入れて、事前に入念な準備をして考えてこないと、まともに公の場で意見なんて言っちゃだめなんだって分かる。

さらには、母国語の英語に加え、6種類の南アフリカの現地語、ドイツ語など複数の言語を操れる語学の才能と、様々な言語由来の英語アクセントを使い分けられるセンス。

”Afraid of the Dark"でも、スコットランド訛り、イギリス訛り、南アフリカ訛り、ロシア訛り、イタリア訛り、フランス訛り、インド訛り、ニューヨーク訛り、アメリカの黒人特有の話し方…等、様々な訛りを披露している。

しかもどれも「まさにその通り」としか言いようがない完成度なのである。

特に、インドがイギリスに植民地化された日をシュミレーションするジョークでは、そのアクセントだけじゃなく、インド人特有の話の切り返し方の特徴も全て掴んでいて、非現実な設定なのに「インド人がよく言いそうな言葉」のオンパレードなのだ。

インド出身の家庭に生まれたラッセル・ピーターがやるなら分かるけど、南アフリカの黒人とスイス人の間に生まれたトレヴァー・ノアが、こんなにうまい物真似をやるなんて、今までどれだけインド人を観察していたのか…。

トレヴァーは、元々イギリスやオーストラリア訛りに近い、少々南アフリカ訛りのある英語を話すが、オバマや黒人ラッパーの物真似をやるときは、完璧すぎる”黒人のアメリカ英語”で話し、これは実際うますぎて感動するレベルの職人芸である。


トレヴァー・ノアは、ストリートスマートのお手本のようなコメディアンだ。

自伝によると、10代の頃から同じストリートの子ども相手に商売をし、自力で稼ぐ力を身につけていた。ドライバーの仕事をしていたが、車を盗まれたことを機にスタンダップコメディの世界に入り、新参者に保守的な南アフリカを飛び越えて、アメリカで大成功。

アメリカでも、黒人と白人のミックスのコメディアンがここまで成功する例は今までなかったんじゃないか。しかも何を言っても品は崩さない、だらしのなさは見せない完璧主義感は、あんまり他のコメディアンには見られない特徴。

少々語りすぎたが、やっぱりトレヴァー・ノアは、このトランプが大統領になるような混乱の時代に出現したアメリカを救う存在、コメディ界のオバマとしか思えない。

外国人で、公然と人種差別される国で育ち、貧困からアメリカンドリームを叶え、さらに黒人でもあり、白人でもあるからこそ、どのグループに属することもなく、今のアメリカに中立の立場で嫌味なく物申せる存在。しかもユーモアを持って。

そんな存在は今トレヴァー・ノアしかいない!