L.A.を含むカリフォルニアの複数の場所で大規模な山火事が発生している今週末。
つい先日、L.A.近郊のミュージックバーで銃乱射事件があったと思ったらこの惨事で、もうひどいとしか言いようがない。
そんな遠くの国の人々の嘆きに思いをはせている中、めちゃくちゃ面白い小説に出会った。
IQ/ジョー・イデ
日系アメリカ人のジョー・イデによる、L.A.が舞台のミステリ小説「IQ』。
探偵は、L.A.の黒人コミュニティに住む青年で、感情に左右されずどんな時もクールで抜群に切れる頭脳と鋭い嗅覚で事件を解決していく。
そんな探偵の相棒もとい同居人は、ドラッグの販売で暮らすギャング。
スターを夢見る自己顕示欲の強い女の子や、ラッパー同士のビーフ、ギャングの抗争にコミュニティの貧困など、L.A.のローカルやセレブリティの世界観も盛り込まれていて、エンターテイメント性の高さは中毒者続出レベル。
しかもこれを書いたのが、ジョー・イデが50代後半の時と言うから驚き。
ジョー・イデは、日系人だがL.A.の治安の悪いサウスセントラルで育ち、幼少期は黒人たちのクールな話し方や振る舞い方に憧れて彼らのコミュニティに入り浸ったという。
そのおかげで、この小説の中でもローカルしか知らないL.A.黒人コミュニティ内の些細なディテールが緻密に描かれている。
まるで映画でも観ているかのようなスピードと文字から起き上がるビジュアルが鮮明で、久しぶりに1ページ1ページを読み進めるのがもったいないと思える小説である。
アメリカでは続編と3作目も出版されているようで、まだまだこのIQに出会える機会があると思うと嬉しくてしょうがない。
日本のヒップホップ界隈で話題になりすぎる前に、先に読んでおくことをおすすめします。
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